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難民に関する話をしていると、よく聞かれる質問です。
「良いか悪いかは別として、日本という国は難民が来てもそのほとんどが認定されない厳しい状況。それなのに、なぜ難民は日本へ来ようと思うの?だったら、もっと認定されやすい欧米の国や、隣国へ行った方が明らかに良いと思うのに…」

 

私も、難民の方に直接話を聞くまでは不思議に思っていました。
しかし、多くの難民は「日本以外に選択肢が無い」から日本へ来ているのです。

 

■難民受入状況
まず、日本の難民受入状況について、G7比較で軽く触れたいと思います。
国名     受入数   認定率
ドイツ    33,310   40%
米国     21,760   70%
仏国     16,636   18%
英国     10,734   36%
カナダ    9,943    56%
伊国     3,641    10%
日本     11     0.2%
*日本難民協会HPより(2014年データ)

 

各国の比較で見ると、確かに差は歴然です。
ですが、今回はこの数字が良いとか悪いとか、そういった話ではなく、あくまでも「なぜそれでも難民は日本へ来るのか?」という疑問に答えて参ります。

 

■難民が置かれている状況
出身国や、その時の国内政治の状況などにより異なりますが、多くの場合、以下のような状況に置かれています。
・日常的な暴力や差別に晒され、危険と隣り合わせ
・パスポートを取り上げられている/政府が発行できる状況にない
・手に入る情報が制限されている/監視されている
・Decent Work(人間の尊厳を保ちつつ、きちんと対価をもらえる仕事)を奪われている/就けない
・自分の意思で自由に移動をすることが認められていない

 

ざっとこんな感じです。
差し迫った死や暴力、貧困、人間としての尊厳の蹂躙など、の深刻な状況が見えて来ます。

 

そうなると、いざ目の前に差し迫った危機が訪れ、「逃げなきゃ!」となった際、誰を頼るでしょうか。もちろん政府なんてもっての他。友人や家族も皆自分と同じ状況…。

 

そう、頼るのは裏社会のブローカーです。彼らに、親戚一同からかき集めたありったけの財産を支払い、第3国への出国の手はずを整えてもらうのです。多くの場合は、一族の代表ととして元気な男性がまずそれで出国し、うまく行けば後から家族を呼び寄せようとします。

 

■第3国への出国  行き先は選べるのか?
結論から言うと、行き先の選択権はほぼ皆無です。
ブローカーは、パスポートや入国のためのビザを偽造し、航空券や船のチケットなどの移動手段を確保します。
盗難品などを使ってうまく偽造できた場合に、依頼主の元へやってきて「XX国への渡航準備ができたから残りのお金を支払って出国するように」と伝えに来ると言います。

 

実際、ミャンマーで弾圧を受けていた少数民族で日本に難民として逃れて来た方に話を聞いた際、「日本を目指して来たわけではなかった。明日をも知れない状況の中で、頼ったブローカーが最初に用意したのが日本へのビザと航空券だった」と言っていました。
「断れば次はいつまた準備できるか分からない、それに私の知っていた数少ない情報の中でも、日本は豊かで親切な国だと知っていたから、断る理由などどこにも無かった」そうです。(その後彼は、気の遠くなるような年月と労力をかけ、日本で難民認定されますが、その話はまた別の機会に)

 

このように、様々な困難な状況を背景に、難民は日本へとたどり着きます。
日本にたどり着いた難民の多くは、入国審査で見破られ、すぐさま入国管理局に「収容」されてしまいます。劣悪な環境の中、命の危険のある本国への強制送還に怯えながら、ほぼ奇跡に近い難民認定を待つことになります。